運送会社の安全運行完全ガイド|事故防止・運行管理・安全運転支援を徹底解説

コラム

運送会社にとって、安全運行は事業を継続するための重要な経営課題です。追突、左折時の巻き込み、バック時の接触、居眠りや脇見運転など、事故の原因は一つではありません。運転者の注意力だけに頼るのではなく、車両の安全装備、運行管理、点呼、教育、データ分析を組み合わせた総合的な対策が求められています。

国土交通省によると、令和5年(2023年)に事業用自動車が第一当事者となった人身事故は23,606件でした。過去10年間では大きく減少しているものの、直近数年間は横ばいから微増傾向にあります。また、トラック事故では追突が5,790件発生しており、事故類型の中で最多となっています。

本記事では、運送会社で起きやすい事故の種類と原因を整理し、事故を未然に防ぐための考え方、運行管理DX、テレマティクス、AIによる安全運転支援、側方・後方の死角対策、ドライバーモニタリングシステム(DMS)まで、実務に役立つ安全運行の方法を体系的に解説します。

自社の事故やヒヤリハットの傾向を把握し、どの対策から導入すべきかを検討する際にご活用ください。

出典:
国土交通省「健康起因事故及び飲酒運転の防止に係る国土交通省の取組」
国土交通省「事業用自動車の安全対策と運行管理におけるDXの活用について」

運送会社に安全運行の全体設計が必要な理由

運送会社の安全対策は、車両に機器を取り付けるだけで完了するものではありません。事故が起きる場所、時間、運転行動、車両の状態、点呼や教育の運用を把握し、複数の対策を継続的に改善することが重要です。

国土交通省によると、令和5年(2023年)に事業用自動車が第一当事者となった人身事故は23,606件でした。過去10年間では約半減した一方、直近数年間は横ばいから微増傾向とされています。事故が一定水準で残る現在は、データと先進技術を組み合わせた予防型の安全運行が求められています。
出典:
国土交通省「健康起因事故及び飲酒運転の防止に係る国土交通省の取組」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/seminar2025_1-1.pdf

運送会社では、公道上の交通事故だけでなく、荷捌き場や車庫での後退事故、点呼・アルコールチェックの漏れ、長時間運転に伴う疲労も安全に影響します。

目指すべきは、単一の事故を減らすことではありません。「人・車両・運行・現場」を一体で管理し、事故の前兆を把握しながら継続的に改善する仕組みを整えることが、安全運行の基本です。

運送会社で事故が減らない5つの理由

理由1:事故やヒヤリハットが経験談のまま蓄積されるため

事故やヒヤリハットを紙や口頭だけで管理していると、発生場所、時間帯、車種、天候などの共通点を見つけにくくなります。

急ブレーキ、急加速、速度超過、車間距離不足、長時間運転などの情報を同じ基準で記録し、営業所や車両ごとに比較できる状態をつくることが重要です。

理由2:教育が事故後の個別指導に偏るためです

事故が起きた後に当事者へ注意するだけでは、組織全体のリスクは下がりません。

事故に至らなかった危険運転やヒヤリハットを抽出し、早い段階で指導する仕組みが必要です。運転者を一方的に責めるのではなく、危険な場面を一緒に確認し、具体的な改善行動へ結び付けます。

理由3:目視確認だけでは死角と認知の遅れを補えないためです

大型車には、左側方、前方近距離、後方などに死角があります。ミラー確認や目視確認は不可欠ですが、歩行者や自転車の接近を常に見落とさないとは限りません。

カメラ、センサー、AIによる検知を組み合わせ、運転者の認知を支援することが重要です。

理由4:人・車両・運行のデータが分断されているためです

位置情報、走行データ、車載映像、点呼記録、整備情報が別々に管理されていると、事故の前兆を横断的に分析できません。

「どの車両が、いつ、どのような運転をし、どのような指導を受けたか」を確認できるデータ基盤が必要です。

理由5:導入後の運用設計が不足しているためです

機器を導入しても、アラートを誰が確認するのか、何件を指導対象にするのか、効果をどの指標で測るのかが決まっていなければ通知は形骸化します。

安全対策は導入日がゴールではありません。警告後の対応、教育、効果測定まで含めて運用ルールを定着させることが重要です。

運送会社で起きやすい事故類型とリスク

国土交通省の資料では、令和5年のトラック事故で「追突」が5,790件発生し、事故類型の中で最多でした。

プラン2025では、トラックの追突事故を3,350件以下とする目標が掲げられていましたが、令和6年実績は5,442件でした。次期プラン2030案では、2030年までにトラックの追突事故を2,380件以下とする目標が示されています。

出典:
国土交通省「事業用自動車の安全対策と運行管理におけるDXの活用について」
https://www.jdrc.or.jp/master/wp-content/uploads/2025/02/drappli2024_a.pdf

国土交通省「事業用自動車総合安全プラン2030(案)」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001979546.pdf

事故・リスク起きやすい場面主な要因対策
追突渋滞末尾・高速道路車間距離不足・脇見・居眠り前方警告・運転データ・教育
左折時の巻き込み交差点・自転車通行帯側方死角・内輪差側方カメラ・センサー・徐行
バック・後退車庫・荷捌き場後方死角・誘導不足後方映像・人検知・手順化
居眠り・脇見長距離・深夜・早朝疲労・睡眠不足DMS・休憩・点呼・健康管理
健康起因事故運行中・長時間勤務体調不良・疾患健康管理・異常時の運行中止

発生頻度だけで優先順位を決めることはできません。左折時の巻き込みや人との事故は、重大な被害につながる可能性があります。

また、構内の後退事故は公道上の事故として集計されにくい場合があるため、社内の事故・ヒヤリハット記録で別途把握する必要があります。

事故を防ぐ5つの考え方

1. 事故の後ではなく、前兆を管理します

事故件数だけでなく、急ブレーキ、車間距離不足、危険挙動、指導実施率、改善確認率などを先行指標として管理します。

事故が発生してから対応するのではなく、危険挙動が増加した段階で教育や運行計画を見直すことが重要です。

2. リスクに応じて対策を組み合わせます

追突には前方支援だけ、居眠りにはDMSだけという単独発想では、事故の原因全体を捉えられません。

運行管理による見える化、車載機器による即時警告、映像記録、点呼、教育を組み合わせ、認知・判断・行動・管理のそれぞれを支援します。

3. 安全と生産性を同時に設計します

日報作成、運行状況の確認、指導対象の抽出、点呼記録などをデジタル化すれば、安全確保と管理業務の効率化を両立できます。

導入時は、運転者の操作負担と管理者が確認する情報量のバランスを確認し、現場が継続して使える仕組みを設計します。

4. 警告の後の行動まで決めます

警告音を出すだけでは、事故防止につながりません。

警告が発生した場合に、運転者へどのように伝えるのか、管理者がいつ確認するのか、再発時にどのような教育を行うのかを事前に決めます。

5. データ利用と個人情報のルールを明確にします

車載映像、顔画像、位置情報、運転評価などは、収集目的と権限を明確にして取り扱います。

誰が閲覧できるのか、保存期間はどれくらいか、教育や事故調査にどう利用するのかを社内規程で定め、運転者へ事前に説明します。

安全運行を支えるシステムとJ21のソリューション

J21では、運送会社の課題を「運行全体」「前方」「側方」「後方」「運転者状態」に分け、必要な機能を組み合わせて検討します。

対応車種、設置条件、機能範囲については、車両仕様と運用条件を確認したうえでご案内します。

① 運行管理・フリートの見える化:Geotab

位置情報、走行状況、運転行動、稼働状況を把握し、危険挙動や運行の遅れを分析する基盤を整えます。

導入時は、対象車両、取得データ、閲覧権限、アラート基準、レポートの利用者を明確にします。

Geotab製品ページ

② 前方衝突・車間距離の支援:Mobileye

追突を防ぐには、前方の危険を早く認知し、適切な車間距離と速度を保つことが重要です。
前方安全支援システムを検討する場合は、対象車両、取付位置、警告の種類、安全教育との連携を確認します。
Mobileye製品ページ

③ 左折時の巻き込み・側方死角の支援:C46

大型車の左折では、車体の長さ、内輪差、左側方の死角が重なります。
C46は、左折時などの側方リスクを見える化する対策として位置付けます。装置による検知と、発進前の目視確認、交差点での徐行を組み合わせます。
C46製品ページ

④ バック・後退時の接触防止:BCK-G44

バック事故は、車庫、配送先、荷捌き場、建設現場などで発生しやすいリスクです。

後方映像、障害物検知、人の検知、誘導員との手順を組み合わせます。夜間や雨天時の視認性、取付条件、映像の保存・閲覧権限も確認します。

BCK-G44製品ページ

⑤ 居眠り・脇見運転の支援:ADplus+DMS

長距離・深夜運行では、運転者の疲労や注意散漫が事故リスクになります。

DMSは運転者の状態を検知して注意を促す仕組みです。点呼、休憩、健康管理、運行計画と組み合わせ、警告時の休憩、交代、管理者への報告手順を定めます。

ADplus+DMS製品ページ

関連リンク一覧

導入コストとROI(費用対効果)の考え方

安全システムの導入費用は、機器本体だけで決まりません。

取付工事費、通信費、クラウド利用料、事務所側の管理環境、教育費、保守費用などを含めて、導入から運用までの総費用を確認する必要があります。

製品価格や削減率は車両仕様や契約条件で変わるため、一律の金額や導入効果を断定しないことが重要です。

費用・効果確認内容
初期費用機器本体・取付・設定・初期教育
継続費用通信・クラウド・保守・交換部品
運用費用管理者の確認時間・教育・ルール整備
効果事故・修理・休車・保険・管理工数の改善

ROIは、事故の修理費、代車費、休車による機会損失、荷主対応、保険・賠償、安全教育の工数などを合算して考えます。

年間総費用をC、事故関連費用の削減額をA、管理工数の改善額をBとすると、簡易的な効果額はA+B、投資回収期間はC÷(A+B)で試算できます。

実際に試算する際は、自社の過去の事故、修理、休車、ヒヤリハット、管理工数などのデータを使用することが重要です。

補助金を確認するときの注意点

国土交通省は、先進安全自動車(ASV)やデジタル式運行記録計などの導入を支援する事故防止対策支援推進事業を実施しています。
令和7年度の案内では、対象事業者、対象機器、補助率、機器ごとの上限額、申請期間などが示されています。ただし、補助制度は年度によって条件が変わるため、申請前に必ず当該年度の公募要領を確認してください。

出典:
国土交通省「事故防止対策支援推進事業に係る補助金の申請受付を開始」
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001887430.pdf
補助金の利用を前提に導入判断をするのではなく、補助金を利用できない場合も含めて予算を作成することが安全です。

法令・制度への対応と運行管理DX

アルコールチェックと点呼を安全運行の基本にします

点呼では、運転者の体調、酒気帯びの有無、車両の状態、運行上の注意点を確認します。

機器を導入しても、確認結果への対応、異常時の運行中止、記録保存、管理者への報告が機能しなければ安全確保にはつながりません。

自社の車両区分、運行形態、拠点、点呼方法に応じて、具体的な手順を整理する必要があります。

遠隔点呼・自動点呼は制度要件と運用を確認します

国土交通省によると、令和6年3月末時点で遠隔点呼の届出は延べ1,444件、そのうちトラックは1,131件でした。

業務後自動点呼は延べ1,090件、そのうちトラックは860件でした。

導入時は、制度の種類、必要書類、機器の設置環境、社内体制、故障時や通信障害時の対応を確認します。

出典:
国土交通省「遠隔点呼および業務後自動点呼の実態調査について」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001869580.pdf

デジタコは運行記録と安全教育の基盤になります

国土交通省の資料では、車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の普通自動車など、一定の車両には運行記録計の装備が義務付けられています。

対象車両では、瞬間速度、運行距離、運行時間を記録し、1年間保存する必要があります。

デジタコは法定記録に加えて、速度や運転時間の分析、安全運転指導、労務管理にも活用できます。

同資料では、2027年までに対象車両のデジタコ普及率85%を目標とする方向性も示されています。

出典:
国土交通省「デジタコ装着の意義と最新の政策動向」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001970211.pdf

導入・運用を成功させる実行手順

手順実施内容成果物
1. 現状診断事故・ヒヤリハット・車種・運行・点呼を整理課題一覧
2. 優先順位付け発生頻度と被害の大きさから重点課題を決定導入優先順位
3. 小規模検証営業所や車両を決めて試行検証レポート
4. 運用設計警告後の対応・教育・権限・保存期間を決定運用規程
5. 効果測定事故・危険挙動・指導・稼働状況を比較月次改善資料
6. 全社展開機器・教育・管理ルールを展開標準運用

最初からすべての機能を導入するのではなく、重大な課題から検証する方法が現実的です。

追突が多い会社は、運転データと前方支援を先行させます。車庫や荷捌き場の接触が多い会社は、後方確認と誘導手順を先に整備します。

深夜運行の負荷が課題であれば、DMSだけでなく、休憩、点呼、健康管理、運行計画も合わせて見直します。

まとめ:安全運行は「課題から逆算して」設計します

運送会社の安全運行を実現するには、製品を先に選ぶのではなく、自社で起きている事故と前兆を整理し、必要な対策を組み合わせることが重要です。

追突には運転データと前方支援、巻き込みには側方の見える化、バック事故には後方確認と検知、居眠りや脇見にはDMSと健康・休憩管理、運行全体にはテレマティクスと点呼・教育を組み合わせます。

国土交通省の次期プラン2030案は、トラックについて、2030年までに以下の目標を示しています。

  • 死者数:175人以下
  • 重傷者数:820人以下
  • 人身事故件数:5,800件以下
  • 追突事故件数:2,380件以下
  • 飲酒運転:ゼロ

出典:
国土交通省「事業用自動車総合安全プラン2030(案)」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001979546.pdf

これらは業界全体の目標ですが、各社にとっても、安全指標を設定し、継続的に改善するための基準になります。

J21では、運送会社の規模、車両台数、運行形態、事故課題、既存システムを確認し、運行管理と車両安全支援を組み合わせた導入計画をご提案します。

お問い合わせ

運送会社の安全運行、事故防止、運行管理DXについて、J21にお気軽にご相談ください。

事故傾向や車両構成を確認し、導入範囲、運用方法、効果測定の指標を整理します。小規模な検証から複数営業所への展開まで、課題に応じた安全対策をご提案します。

参考資料・引用元一覧

資料名発行元発行年月URL
健康起因事故及び飲酒運転の防止に係る国土交通省の取組国土交通省2025年2月https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/seminar2025_1-1.pdf
事業用自動車の安全対策と運行管理におけるDXの活用について国土交通省2024年11月https://www.jdrc.or.jp/master/wp-content/uploads/2025/02/drappli2024_a.pdf
事業用自動車総合安全プラン2030(案)国土交通省2026年3月https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001979546.pdf
遠隔点呼および業務後自動点呼の実態調査について国土交通省不明https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001869580.pdf
デジタコ装着の意義と最新の政策動向国土交通省不明https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001970211.pdf
事故防止対策支援推進事業に係る補助金の申請受付を開始国土交通省2025年5月https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001887430.pdf

採用情報

ジャパン・トゥエンティワンではさらなる事業拡大へ向け、さまざまなポジションの採用活動を行っています。
ともにまだ見ぬ革新的なパートナー企業を探し、発信することで世の中へ新しい価値を創造しませんか?

ご相談・お問い合わせ

弊社取扱製品や海外企業とのパートナーシップ締結、採用情報に関するご相談やお問い合わせはこちら。

資料ダウンロード

ジャパン・トゥエンティワン株式会社​の会社案内などの資料をダウンロードいただけます。