有収率とは?計算方法・全国平均・改善のポイントをわかりやすく解説

コラム

有収率とは?計算方法・全国平均・改善のポイントをわかりやすく解説

水道事業において、「有収率」は経営効率や漏水対策の成果を測る重要な指標の一つです。しかし、「有収率とは何を表すのか」「なぜ改善が重要なのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
有収率は、水道事業の健全性だけでなく、老朽化した管路の状態や漏水対策の効果を判断するうえでも欠かせない指標です。近年では、人口減少や更新費用の増加を背景に、有収率の維持・向上がこれまで以上に重要視されています。
本記事では、有収率の基本的な考え方や計算方法、日本の現状、有収率が低下する原因、改善するための考え方についてわかりやすく解説します。

有収率とは?

有収率とは、水道事業者が配水した水のうち、料金収入につながった水の割合を示す指標です。
つまり、浄水場から送り出した水がどれだけ無駄なく利用者へ届けられたかを表す数値であり、水道事業の効率性を評価する代表的な指標として全国の水道事業体で活用されています。
有収率は次の式で計算されます。

有収率(%)= 有収水量 ÷ 配水量 ×100

例えば、

  • 配水量:10,000m³
  • 有収水量:9,300m³

の場合、有収率は93%となります。
つまり、配水した水の7%は漏水やその他の要因により料金収入につながらなかったことを意味します。一般的に、有収率が高いほど効率的な水道運営が行われていると考えられます。

なぜ有収率が重要なのか

有収率が重要視される理由は、水道事業の経営とインフラ管理の両方に大きく関係するためです。
例えば、有収率が低い場合、

  • 漏水が発生している可能性が高い
  • 浄水した水が有効利用されていない
  • 浄水処理に要したエネルギーや薬品コストが無駄になる
  • 収益が減少する

など、多くの課題につながります。

人口減少が進む現在、水道料金収入は今後も減少していくことが予測されています。
限られた財源で水道インフラを維持していくためには、「新たな水源を確保する」ことよりも、「今ある水を無駄なく届ける」ことが重要になっています。
そのため、有収率は単なる経営指標ではなく、持続可能な水道事業を実現するための重要な指標として位置づけられています。

日本の有収率の現状

日本の水道事業は世界的に見ても高い水準のサービスを維持しています。
しかし、高度経済成長期に整備された水道管路の老朽化が進み、多くの自治体で漏水リスクが高まっています。

また、

  • 人口減少
  • 技術者不足
  • 更新費用の増加

などの課題が重なり、有収率の維持が従来よりも難しくなっています。

有収率は地域によって大きく異なり、高い自治体では95%以上を維持している一方、漏水の多い地域では80%台となるケースもあります。
つまり、有収率は地域ごとの管路状態や漏水管理の違いを反映する重要な指標でもあります。

有収率が低下する主な原因

有収率が低下する最大の原因は漏水です。
漏水には目に見えるものだけでなく、地下で長期間発生し続ける微細な漏水も数多く存在します。

主な原因としては、

  • 老朽化による管路の腐食
  • 継手部の劣化
  • 地盤変動
  • 水圧変動
  • 小さなクラックの進行

などが挙げられます。

さらに重要なのが、老朽化した管路では時間の経過とともに新たな漏水が自然に発生し続けるという点です。
この現象はNRR(Natural Rate of Rise:自然上昇率)と呼ばれ、漏水対策を考えるうえで近年注目されています。漏水を修繕しても、有収率が思うように改善し続けない背景には、このNRRが関係している場合があります。

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有収率を改善する方法

有収率を改善するためには、漏水を削減することが重要です。

従来は主に次のような方法が採用されてきました。

  • 漏水調査(音聴調査など)
  • 漏水修繕
  • 老朽管の更新

これらはいずれも重要な取り組みですが、老朽化が進む現在では、それだけで十分とは言えないケースも増えています。

近年では、漏水を「見つけて修理する」だけでなく、水道ネットワーク全体の漏水を効率的に削減する新しい考え方も注目されています。その一つが、イスラエルのCurapipe社が開発したWLH(Water Loss Harvesting)です。
WLHは、配水管内から微細漏水を非開削で一括補修するとともに、漏水削減効果を定量的に測定・可視化する新しい漏水管理アプローチです。

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有収率改善で本当に重要なのは「改善を維持すること」

有収率は、一度改善すれば終わりではありません。
老朽化した管路では新たな漏水が発生し続けるため、有収率を長期間維持することが重要になります。

今後の水道事業では、

  • 漏水を減らす
  • 漏水の再発を抑える
  • 投資効果を高める

という視点を組み合わせた漏水管理が求められています。

有収率は単なる数字ではなく、水道インフラの健全性を映し出す重要な指標です。
今後は、有収率そのものだけでなく、「どのように改善し、その状態を維持するか」という考え方が、より重要になっていくでしょう。

まとめ

有収率は、水道事業の効率性や漏水管理の成果を示す重要な指標です。
有収率が低下する背景には漏水や管路の老朽化があり、従来の漏水調査や管路更新だけでは改善が難しいケースも増えています。
そのため近年では、NRR(自然上昇率)という考え方や、WLH(Water Loss Harvesting)のような新しい漏水管理手法にも注目が集まっています。
持続可能な水道事業を実現するためには、有収率という数字だけを見るのではなく、その背景にある漏水の構造や、長期的な改善・維持の仕組みまで考えることが重要です。


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