PFASが検出されたら何をすればよい?調査・確認・対応の流れを解説

コラム

前回のコラムでは、PFASが地下水から検出される仕組みや、なぜ自治体が調査を行うのかについて解説しました。PFASに関する報道では、「地下水からPFASを検出」「指針値を超過」「追加調査を実施」といった言葉を見聞きすることがあります。しかし、実際にPFASが検出された場合、どのような対応が行われるのか、戸惑う方も多いのではないでしょうか。

重要なのは、PFASが検出されたこと自体がゴールではなく、そこから実態を把握することがスタートであるという点です。検出された濃度や地点、飲用利用の有無、周辺の発生源や地下水流向などを踏まえて、初めて次の対応を判断できます。

本稿では、PFASが検出された後の一般的な対応の流れと、その背景にある調査の考え方について、公的機関の情報をもとに解説します。

PFASが検出された=直ちに危険なのか

PFASに関する報道では、「検出」という言葉だけが注目されがちです。しかし、PFASが検出されたこと自体が、直ちに健康被害の発生を意味するわけではありません。

出典:環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」(参照:2025年6月30日公布の水道水質基準省令改正)https://www.env.go.jp/water/pfas.html

PFASは1万種類以上あるとされる化学物質群であり、物質ごとに性質や毒性、リスクは異なります。リスク評価では、どの物質が、どの程度の濃度で、どのような経路(飲用・食品・空気など)で、どれくらいの期間曝露されたかといった情報を総合的に確認する必要があります。

出典:環境省「PFASに関するよくある質問」(参照:食品安全委員会2024年6月評価も踏まえたFAQ)https://www.env.go.jp/water/pfas/faq.html

したがって、PFASが確認された場合には、まず検出内容と地域の状況を正しく把握することが、次の判断の出発点となります。なお、日本ではPFOSとPFOAについて、2026年4月1日から水道水質基準が適用され、合算値で50ng/L以下と定められていますが、これは水道水に関する基準であり、検出値そのものと直ちに危険を意味するものではありません。

出典:環境省「「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」及び「水道法施行規則の一部を改正する省令」の公布等について」(2025年6月30日)https://www.env.go.jp/press/press_00075.html

最初に行うのは追加調査

PFASが確認された場合、最初に行われるのが追加調査です。調査地点が1地点だけの場合、その地点だけの問題なのか、周辺にも広がっているのかが分かりません。

そのため、自治体や関係機関は、周辺井戸、観測井戸、河川、湧水、水道水源などを対象に追加の採水調査を実施します。

出典:環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」(公共用水域・地下水の常時監視)https://www.env.go.jp/water/pfas.html

地下水は目には見えません。地表面では異常が見られなくても、地下では広範囲に移動している可能性があるため、汚染の実態を把握するためのデータ収集が最初のステップとなります。対象範囲や調査地点の数は、地域の水文状況やこれまでの情報によって異なるため、全国一律ではありません。

出典:環境省「PFASに関するよくある質問」(調査・対応の考え方も掲載)https://www.env.go.jp/water/pfas/faq.html

汚染範囲を把握する

次に必要になるのが、「どこまで広がっているのか」を把握することです。例えばA地点でPFASが検出された場合でも、50m先までなのか、500m先までなのか、さらに広範囲なのかによって、その後の対応は大きく異なります。

地下水は常に流動しており、季節や揚水状況、降雨などの影響を受けて流れ方が変わります。

汚染の中心がどこか、どの方向へ移動しているのか、将来的に範囲が拡大し得るのかを確認するためには、地下水位や地下水流向の調査も重要な情報となります。

出典:US EPA「Our Current Understanding of the Human Health and Environmental Risks of PFAS」(PFASの移動・残留性に関する解説)https://www.epa.gov/pfas/our-current-understanding-human-health-and-environmental-risks-pfas

発生源と移動経路を確認する

PFAS対策で特に難しいのが、「どこから来たのか」を特定することです。地下水は流れているため、PFASが検出された地点と実際の発生源が一致するとは限りません。

過去の調査事例では、工場跡地、産業施設、空港、自衛隊施設、消防訓練施設などが調査対象となるケースがあります。また、現在は使用されていなくても、数十年前の土地利用や活動が影響している場合もあります。

そのため、過去の土地利用履歴、周辺施設の状況、地下水流向、土壌の吸着特性などを総合的に分析しながら、発生源と移動経路の推定を行います。

出典:WHO「Assessing the occurrence and human health risk of per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS)」(発生源・曝露経路の評価枠組み)https://www.who.int/activities/assessing-the-occurrence-and-human-health-risk-of-per–and-polyfluoroalkyl-substances

飲用利用の有無を確認する

PFASが検出された場合の対応は、その水が実際にどのように利用されているかによって変わります。飲用、農業用水、工業用水、私的な利用など、地域の利用状況を踏まえて、初めて取るべき措置が見えてきます。

なお、日本では水道水について、PFOSとPFOAの合算値で50ng/L以下という水質基準が2026年4月1日から適用されます。一方で、地下水の飲用可否や個別の井戸対応は、地域の実情や自治体・水道事業者の判断・助言を踏まえる必要があります。

出典:環境省「「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」及び「水道法施行規則の一部を改正する省令」の公布等について」(2025年6月30日)https://www.env.go.jp/press/press_00075.html

したがって、PFASの検出値だけを見て「危険」「安全」を自己判断するのではなく、自治体や水道事業者の公表情報を確認し、必要に応じて相談することが重要です。

出典:環境省「PFASに関するよくある質問」(自治体・水道事業者による公表・対応の参照)https://www.env.go.jp/water/pfas/faq.html

継続的なモニタリングの重要性

地下水調査は一度実施して終わりではありません。地下水の濃度や流向は、季節変動、降雨、揚水状況、地下水流動などによって変化します。

そのため、多くの場合は継続的なモニタリングが実施されます。継続調査によって、濃度が上昇しているのか、横ばいなのか、低下しているのかといった経時変化を確認できます。また、新たな地点でPFASが検出されていないかを確認することも重要です。

出典:環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」(常時監視・経時変化の公表)https://www.env.go.jp/water/pfas.html

濃度だけでは分からないこと

PFAS調査では、検出濃度が注目されがちです。もちろん濃度は重要な指標ですが、地下水汚染を理解するうえでは、濃度だけでは判断できない側面もあります。

例えば、濃度は高いが地下水の流れが小さい場所と、濃度は低いが大量の地下水が流れている場所では、環境や飲用水利用への影響の考え方が変わります。また、短鎖か長鎖かといった物質の特性や、前駆体からの変化も影響します。

近年では、地下水流向、地下水流速、汚染物質の移動量(フラックス)といった観点も重視されています。濃度の数字だけで「安全」「危険」を単純化せず、地域の水文・地質情報を組み合わせて評価することが合理的とされています。

出典:US EPA「Our Current Understanding of the Human Health and Environmental Risks of PFAS」(曝露評価・移動量評価の枠組み)https://www.epa.gov/pfas/our-current-understanding-human-health-and-environmental-risks-pfas

正しい対策のためには正しい調査が必要

PFAS問題への対応では、検出の有無、汚染範囲、発生源、将来的な移動可能性、そして地域の水利用状況を把握することが重要です。これらの情報がなければ、適切な対策を検討することもできません。

逆に、正確な調査結果があれば、必要以上に不安を抱くことなく、合理的な対応を進めることができます。検出値のみを根拠に個人で判断するのではなく、自治体や関係機関が公表する調査結果と、その背景にある調査設計を踏まえて対応することが大切です。

出典:食品安全委員会「「有機フッ素化合物(PFAS)」の評価に関する情報」(2024年6月25日)https://www.fsc.go.jp/osirase/pfas_health_assessment.html

出典:食品安全委員会「「有機フッ素化合物(PFAS)」評価書に関するQ&A」(健康影響評価Q&A)https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/pfas_faq.html

まとめ

PFASが検出された場合に最も重要なのは、「まず調べること」です。検出された事実だけでは、どこまで広がっているのか、どこから来ているのか、今後どう変化するのかを判断することはできません。

追加調査、汚染範囲・発生源・移動経路の把握、飲用利用の有無の確認、継続的なモニタリングというステップを通じて、地下水中でのPFASの挙動を正しく理解することが大切です。検出値だけを根拠に過度に不安を抱く必要はありませんが、だからといって放置してよいわけでもありません。自治体や水道事業者など関係機関の公表情報を確認し、地域の実情に応じた適切な対応を取ることが、結果的に最も確実な安心につながります。

採用情報

ジャパン・トゥエンティワンではさらなる事業拡大へ向け、さまざまなポジションの採用活動を行っています。
ともにまだ見ぬ革新的なパートナー企業を探し、発信することで世の中へ新しい価値を創造しませんか?

ご相談・お問い合わせ

弊社取扱製品や海外企業とのパートナーシップ締結、採用情報に関するご相談やお問い合わせはこちら。

資料ダウンロード

ジャパン・トゥエンティワン株式会社​の会社案内などの資料をダウンロードいただけます。