「なりすまし詐欺との戦い——企業を狙う新しい脅威」
コラム
「SNS詐欺広告の実態——被害額3兆円の背景」

日本企業が直面するSNS詐欺広告(企業になりすました詐欺的な広告)による被害額が3兆円に達するという現実。これは単なる統計数字ではなく、毎日どこかで消費者が偽造品(正規品ではない偽造品)を購入し、企業が知らぬ間に信用を失っているという事実を物語っています。
多くの企業経営者やマーケティング担当者は「自社はSNSで適切に対応しているから大丈夫」と考えがちです。しかし実情は異なります。カシオ計算機のような大手企業でさえ、自社をかたった詐欺SNS広告に悩まされているのです。
カシオは電卓やデジタル腕時計などの電子機器で世界中に認知されたグローバル企業です。ところが、2025年夏時点で、SNS上に「カシオが特定地域(タイなど)から撤退する」という偽の情報が流布されていました。この虚偽の撤退情報は、消費者に不安感を与え、「今のうちに買わなければ」という心理を刺激します。そしてそこに、正規の販売チャネルに見せかけた模倣品サイトへのリンクが貼られるのです。犯人たちは巧妙に企業になりすまし、偽情報で消費者の警戒心を解き、模倣品購入へと誘導しています。
なぜこうしたことが起きるのか。その背景には、SNS広告の審査の隙をついた犯罪者の進化と、企業側の対応能力の格差があります。
「カシオも狙われた——模倣品サプライチェーンが追跡困難な理由」

SNS詐欺広告と模倣品市場は、単純な一対一の関係ではありません。複雑に絡み合ったサプライチェーン(供給網)を形成しているのです。
カシオ計算機の営業本部業務改革統轄部で模倣品対策を担う中村文人リーダーが指摘するように、被害はインドネシアやフィリピンにも急速に飛び火しています。これは単なる地理的な拡大ではなく、犯罪ネットワークの国際化を意味します。
追跡困難性の理由は、犯人たちが複数の中間業者を経由させることで、誰が主犯なのか、どこから模倣品が来たのかを隠すためです。流通経路が複数あり、各段階で責任が曖昧になるのです。SNS上の詐欺広告から消費者が模倣品サイトにたどり着き、購入したその先には、複数の仲介業者や製造元が存在します。仕入れ元から消費者までの道のりが複数あり、どこで誰が利益を得ているのか、企業側からは把握しきれません。さらに国境を越えた取引となれば、各国の法規制の違いもあり、対応はより複雑になるのです。
弊社が検知ツールを扱う中で感じることは、この複雑性こそが、企業にとって最大の課題だということです。
「検知と対応——企業の防御戦略はここから始まる」

では、企業は何をすべきか。その答えが、継続的な監視と迅速な対応にあります。
SNS詐欺広告に対抗するには、ブランド侵害(企業の商標や名前を無許可で使用する行為)の監視ツールやフィッシング検知システム(個人情報を盗む偽造サイトを検出する仕組み)が不可欠です。これらのツールは、企業が知らないうちに拡散される詐欺投稿を自動検出し、アラートを発します。弊社が提供する検知ツール「Impersonaly」は、なりすまし広告やフィッシングサイト(個人情報を盗む偽造サイト)を瞬時に識別し、企業に通知する機能を備えています。
しかし検知だけでは不十分です。重要なのは、検知後の迅速な対応です。発見した詐欺広告に対して、即座にプラットフォーム(Facebook・Instagramなどの企業)に報告し、削除を促進する必要があります。弊社のツール「Impersonaly」は検知機能に加えて、検出した脅威に対する対応支援機能も備えており、企業がアラート後すぐに行動を起こせる設計になっています。
つまり、検知から対応まで、一貫したプロセス構築が企業の防御戦略として初めて機能するのです。対応が遅れれば、その間にも偽造品は流通し、企業の信用は損なわれ続けます。
「グローバル展開企業への急速な波及——カシオの事例が示す脅威」

最後に考えるべき点は、この脅威が今、グローバル規模で急速に拡大しているということです。
カシオのような日本の大手企業がターゲットになるのは必然です。なぜなら、ブランド認知度が高く、消費者が信頼しており、模倣品の売却利益も大きいからです。そして一度犯罪ネットワークが形成されると、アジア太平洋地域全体へ急速に波及します。インドネシア、フィリピンへの被害の飛び火は、この国際化の象徴です。
企業の経営層やセキュリティ担当者は、今この瞬間も、自社がなりすまし詐欺の対象になりうることを認識すべきです。対岸の火事ではなく、自社の課題として捉え、検知と対応の両立を可能にするツール「Impersonaly」への投資を急ぐことが、ブランド保護とビジネス継続の鍵となるのです。
まとめ
SNS詐欺広告と模倣品流通の脅威は、今や日本企業にとって避けられない現実です。3兆円という被害額が示すように、この問題はすでに社会全体に波及しており、グローバル展開する企業ほどリスクが高まっています。
カシオの事例は他人事ではありません。知名度の高い企業、グローバルに展開する企業であれば、いつなりすまし詐欺の標的になってもおかしくないのです。重要なのは「発見してから対応する」のではなく、「常に監視し、素早く検知し、即座に対応する」という継続的な防御体制を構築することです。
弊社の検知ツール「Impersonaly」は、そうした企業の課題に応えるために開発されました。なりすまし広告やフィッシングサイトを自動検知し、検出後も迅速な対応をサポートする設計は、企業がブランドを守り、消費者の信頼を維持するために不可欠なものです。
今、企業に求められるのは、単なる事後対応ではなく、先手を打つ戦略です。「Impersonaly」のような検知と対応が一体化したツールへの投資が、今後のビジネス継続を左右する時代が来ているのです。
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